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好きこそものの上手なれ.....温泉職人〝湯守〟のこだわり

滔々と流れるまろやかできめ細かい薬湯
その湯を135年にも渡り守り続けている 湯守(ゆもり) という人がいる

湯守の歴史は古く江戸時代から、もともとは温泉(源泉)の管理人として
土地の領主から湯守の地位が与えられたことに始まる
現在では、源泉まで含めた入浴施設全般の管理を専業で行う従業員、という位置づけになるが
今はもう 湯守のいる宿 は県内でもわずか数件しか残っていない

そんな貴重な 湯守 という存在に興味をひかれ
ぜひ会って話を聞いてみたいと思い探し出したのが
湯守歴20年を超える 川崎 光徳(かわさき みつのり)さん

川崎さんが湯守になったきっかけは 「温泉が好きだから」
その理由はいたってシンプルだ
若いころは料理人として働いていたが、先代の湯守に見込まれて
次代を継ぐべく修業を始めることになったそう

5~6年くらいの間、先代のもとで修業を続けながら
マニュアルがあるわけでもなく、手取り足取りでもなく、
昔気質の「見て覚えろ」的な毎日は苦労も多かったのではと思う

川崎さん曰く 、温泉とは、
「まるで手のかかる子供みたい」だと、なんだか楽しそうである

好きなことだから頑張れる
好きだからこそどんどん上手くなっていく

もともと料理人だっただけに、繊細な ”湯の味付け” も得意分野なのだろう

 

白旗源泉を例に挙げて仕事の内容を一部ご紹介したい
源泉から引きたての湯の温度は55~56℃
その湯を一晩寝かせて46~47℃度くらいまで湯温を下げる
草津のお湯は刺激の強い泉質、それだけに、肌触りが優しくなめらかになるよう湯を丁寧に揉む

暑い日は湯量を少なくして湯舟の湯の温度が高くなりすぎないように、
寒い日は湯量を多くして温度が下がりすぎないように、
お湯と会話するように微妙に加減をコントロールしていく
そうして夏は41℃、冬は42℃、自慢の湯を最も良い状態に仕上げてお客様に提供する

もちろん泉質が違えばそれぞれのやり方も別、湯舟の大きさや形がかわればそれもまた別、
湯舟に入るのが10人なのか50人なのかによっても、祖座の湯温の下がり方が変わってくるのだ

常に一定の温度を保つだけでも、職人技がなければなかなか出来るものではないと思うが
湯に入れた手の感触ひとつで、
温度や柔らかさなど湯のコンディションすべてを察知してしまうというから驚き

なんだ、そんなこと誰でもできるんじゃないか?と思う人もいるかもしれないが
温度計を入れて温度を測るわけではなく、指先1本の感覚で常に一定の温度を保つことが
どんなに難しいことか想像できるだろうか?

時代の流れによって、訪れる客層も変われば、お湯の好みも十人十色
熱い湯が好きな人もいれば苦手な人もいる
湯けむりの量ひとつとっても多い少ないとの声があるとか
お客様の湯の好みに応えたい気持ちと、草津の湯が持つ本来の特性、とのジレンマに悩みは尽きない

一見、泉質や成分ばかりが目を惹きがちだが、
温泉とは泉質や成分そのものの素材を、いかに最高の状態で提供できるか否か
湯に触れた瞬間を想定して綿密な管理をしている人がいるからこそ
「あぁ、いい湯だな」と思わせることができるのである

何代にも渡る湯守の歴史やその技は、先代から後輩へと守り伝え続いてゆく
泉質という素材の良さだけではなく、お客様に喜んでほしいという主人の想い、
その宿自身の〝伝統を映す湯〝にこだわるからこそ、みんなが気持ちよくリラックスできるのだ

古き良き湯守という存在に尊敬と感謝の気持ちを込めながら
温泉天国群馬では、しばらく温泉三昧はやめられそうにないのである

■湯守 川崎 光徳さん
徳川将軍御汲上の湯 奈良屋
住所/群馬県吾妻郡草津町396
TEL/0279-88-2311
 
2012年09月18日 | ライター:るー | 場所:北毛 | カテゴリー:モノ・ワザ  

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